料理の「さしすせそ」砂糖を使わない店主林はアガベシロップ派。

料理の基本といえば「さしすせそ」。
まずは砂糖のお話をしたいところですが…私は砂糖を使わず、アガベシロップを使っています。
30代の頃、低GIダイエットに取り組んでいたときにも活躍でした。特に覚えているのが、豆腐にアガベシロップをかけた「豆腐プリン」かけるだけで手軽に楽しめるスイーツでした。
なぜ、砂糖ではなくアガベシロップなのか。今回は、甘さだけでは分からない、その違いについてお話しします。
砂糖の吸収と、血糖値の急な変化
砂糖を摂るときに気をつけたいのは、量だけではありません。糖がどのくらいの速さで体に入ってくるかも、食後の血糖値に関わります。
砂糖の主成分であるショ糖は、小腸でブドウ糖と果糖に分解されて吸収されます。砂糖そのものには、食物繊維のように消化・吸収を緩やかにする成分は含まれていません。
特に、空腹時に甘い飲み物などで多くの糖を摂ると、ブドウ糖が短時間に血液中へ入り、血糖値が急上昇しやすくなります。
すると膵臓からインスリンが分泌され、筋肉などへの糖の取り込みを促して、血糖値を調整します。これは体に備わった正常な働きです。
ただ、人によっては食後のインスリンの分泌や働きのタイミングによって、数時間後に血糖値が下がりすぎる「反応性低血糖」が起こることがあります。その際には、冷や汗、手の震え、動悸、不安感などが現れる場合があります。
血糖値の変化は、摂る量や空腹の程度、一緒に食べるもの、体質によっても異なります。砂糖の摂り方を考えるうえでは、甘さやカロリーだけでなく、こうした食後の変化も知っておきたいところです。
低GIは、血糖値の上がり方を見る目安
私が30代の頃に取り組んでいた低GIダイエットも、食後の血糖値の変化に目を向ける考え方です。
GI値は、一定量の糖質を含む食品を食べた後の血糖値の上がり方を、ブドウ糖を基準に数値化したもの。甘さの強さを表す数字ではありません。
アガベシロップの甘さは、メーカー公表の目安で砂糖のおよそ1.3倍。一方、アガベシロップ・ゴールドのGI値は21です。
砂糖より甘いのに、低GI。
この違いを生むのが、含まれる糖の種類と割合です。
砂糖の主成分であるショ糖は、ブドウ糖と果糖が結びついたものですが、アガベシロップは果糖の割合が高い甘味料です。
果糖はブドウ糖とは代謝の経路が異なり、主に肝臓で処理されます。アガベシロップの低GIという特徴は、単に吸収が遅いからではなく、果糖が多く、摂取直後の血糖値を上げにくいことによります。
低GIでも、使いすぎには注意が必要です。アガベシロップも糖分を含む甘味料です。
豆腐にも、紅茶にも、煮物にも
アガベシロップは、とろりとした液体の甘味料です。ゴールドはクセが少なく、後味がすっきりしています。
ハチミツやメープルシロップには、それぞれの香りやコクを楽しむよさがあります。一方で、甘みは欲しくても、料理や飲み物の風味を大きく変えたくない場面もあります。
紅茶なら茶葉の香りを、ヨーグルトなら酸味を楽しみながら、甘さを添える。醤油やだしを使う煮物、照り焼きのたれにも合わせられます。
冷たいものにも溶けやすいので、砂糖を溶かすために温める必要もありません。飲み物に混ぜたり、食材にそのままかけたりと、手間をかけずに使えます。
砂糖を使うレシピに取り入れるときは、まず少なめに加えてみてください。
砂糖より甘みが強いため、いつもの量をそのまま入れると、思った以上に甘くなることがあります。煮物やたれ、飲み物なら、少し加えて味を見て、足りなければ足す。この方法で加減できます。
お菓子づくりでは、砂糖は甘さだけでなく、泡立ちや食感にも関わります。アガベシロップに置き換えると水分量も変わるため、ケーキやクッキーなどは、アガベシロップ用のレシピを参考にすると作りやすくなります。
原料は、約5年かけて育つブルーアガベ
アガベシロップの原料は、メキシコで育つブルーアガベです。
リュウゼツランの仲間で、長くとがった葉を広げる植物。テキーラの原料にも使われます。お酒と甘いシロップが同じ植物からできると聞くと、少し意外ではありませんか。
収穫までには、およそ5年かかります。育った株の葉を取り除き、糖質を蓄えた中心部分を加工してシロップを作ります。
この植物が蓄える糖質の一つが、「フルクタン」です。
フルクタンは、果糖がつながった糖質の一群。ごぼうや菊芋にも含まれる水溶性食物繊維「イヌリン」も、その仲間です。イヌリンは、腸内細菌のエサとして利用されることでも知られています。
シロップを作る工程では、原料に蓄えられたフルクタンを分解し、果糖などの糖に変えていきます。これが、アガベシロップに果糖が多く含まれる背景です。
とがった葉を広げる植物と、ボトルに入った甘いシロップ。姿は違っても、原料と作り方をたどると、その甘さの理由が見えてきます。
産地だけでなく、作り手と届ける人の仕事も
私は、生産者さんを応援したいと思っています。ただ、食品を選ぶときに、国産であることを絶対の条件にはしていません。
メキシコでブルーアガベを育て、シロップに加工する人たちがいる。そして、現地の農場や工場へ足を運び、生産者と関係を築きながら、品質を確かめて日本へ届ける人たちがいます。
どこで作られたかに加えて、どう作られ、どう届けられるのか。そうした仕事を知ることも、商品を選ぶうえで大切にしたいと思っています。
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お料理の甘み付けはもちろん、豆腐にかけて「豆腐プリン」にも。まずは少量から、お好みの甘さでお楽しみください。

